体温とは裏腹に。

今日は珍しく久々に冷たいだけの雨。

じっとりとした熱気のあったほうがまだましだったのかもしれない。

天気はよくなかったものの、傘を持ち歩く習慣のない俺はやっぱり濡れて…
ポタポタと毛先から垂れていく水は床に丸い跡を作り、段々とそれは大きくなっていくばかりだ。

だけれども、それを拭く事もしないでそのまま床に寝転んで、天井を仰ぐ。

雨の音、自分の息を吐く音。
心臓の音…それだけしか聞こえない。
気持ち良い、と思った。

最近考えることが多すぎる。
やりたいことも、真剣に考えなきゃいけないことも、単なるお遊び的なこともたくさん。
優先順位は決まっているはずなのに、それすらも考えられないくらいになっている。
理由は分かってる。

けれど…

それがどうしたっていうんだ。

「らしく、ないなぁ…本当」
思わずポツリと呟く。
このままじゃいけないな、とようやく起き上がって部屋を後にしたのだった。


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結局、しばらくそうしていたせいで久々の熱に浮かされる感覚を味わう羽目になってしまった。
自分の考えのなさにもう一度深い溜息をつく。

「…とりあえず、寝よう…」

自分がとても暖かい。
…気持ちとは裏腹の暖かさだ。

病気になるとどうしても心細くなる。
その心細さを狙って、もう一度あの影が姿を覗かせているのが分かる。
考えちゃ駄目だ。考えたら、きっと―

そうは言っても思考が簡単に動きを止めるわけもなく。
朦朧とする意識の中、振り払うように目を瞑る。


―夜がとても長く感じた。