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ル・ジェ
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2008/04/24 (Thu)
「……。」
先程仕入れ屋から受け取ったものを、壊さないようにそっと持ち上げる。
卵形のガラスの中央には淡い光を放つ宝石のようなものが一粒、ゆったりと浮き沈みを繰り返しているのが見えた。
一見すれば美しい美術品の1つのように見える『それ』。
いつもなら喜ぶべき代物だが、淡い光の本当の意味を知った今は…
+++
―『嘆きの妖精樹』、と呼ばれる木が存在する。
そこには無念の思いを残した妖精達の魂が宿るといわれている…
魂は実のように樹に宿り時を待ち…
樹は次の生に還る時までその魂を守り、癒す役割を持つ。
しかしいくら妖精樹とは言え、終わりは来るもの。
仕入れ屋が出会った妖精樹も寿命だったらしい。
寿命が来ると、本来ならば魂の想いが解放されるまで守り続けるという役割がもう出来なくなってしまう。
ただしそうなると…残された魂達はいずれ消滅するしかない運命。
それならばせめて、『外の世界を見てみたい』という妖精達の最後の願いを叶えてやりたい…そう樹は語った。
仕入れ屋はその思いを汲んだ。
羊水の様な液体で満たし、せめて長く時を過ごせる様に。
卵形の容器で最後に優しく包まれるような満たされた気持ちになれるように…
+++
…そんな思いを込められたものが今、俺の目の前にある。
『…お前なら適任だと思ってな。…頼むぞ』
去る間際の仕入れ屋の一言が蘇る。
短いながらも思いの篭った一言。信頼、されているのだろうか。
それならば…
よし!としんみりとした空気を払うように自分の頬を軽く叩いてから、卵を壊れないように優しく持ち上げる。
「…あとどれくらい、もつのか分からない…けれど。……どうか様々な世界を見ることが出来ますように」
そういって、小さな魂達の為に小さく祈ったのだった。
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