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―とある場所で面白い記録を見た。
この場所の歴史や種族について話し合った場の記録。

 

その中で獣人について書かれていた、ある文に目を留める。
『昔は全てのネコ族が知恵を持っていたのに、現在では知恵を持つネコは極僅か…
　…知恵を失いつつある理由は自然のバランスの崩れが…』

…ごく僅か、ねぇ…
育ててくれたネコ族の皆はある程度の知恵を持っていたと、思う。
村長に至ってはそのあたりの学者より余程物知りだ。
旅に出て以来なかなか会う機会もないので、昔の記憶ではあるが…

…やっぱりあの森は守っているのかもしれない。


目の前にはノ・ノーラに書いていた手紙の返事。
その続きを書き加えようとして…やはり手を止める。
…こんな手紙で聞いたって、村長が答えてくれるとは思えない。

「…もうすぐ６年、だっけなぁ…」

色々な理由付けしてあまり帰らなかった村。
その一番の理由だったことは…この間結論を出した。
なら…

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ノ・ノーラへの手紙の追記には短く一言だけ。
『追伸　来年、一旦そっちへ帰ります』