絆と土人形の意味。

大事な預かりものをした。

見かけは普通の土人形だけれど、色んな人の沢山の想いが託されている大切なもの。

…盲目のケルベロスが、見えないながらも育てた子供。
盲目故、その子の種族も何一つ分からない。突然いなくなった子供を捜す手がかりは、唯一その子が作った土人形のみ。
それでもそれを頼りにケルベロスは探し続けた。別種族の子供を育てたことで、国を追われても…それでも。
…年老いていたケルベロスはすでにいないが、種族間を越えた愛情が、今もその土人形と共に大陸を巡っている。

次の運び手は俺。
残念ながらその子供は、俺ではないからね。
…託された後、ある人に質問された。
「この土人形の意味をどう考えるか」
と。

…これは個性がでるだろうし、その子供ではないからまた見方が変わってしまうけど…
俺は証だと思う。
盲目のケルベロスがいたという証、子供がいたという証、そして想いを受け継ぎ託してきた人たちが存在する証。
当たり前のことなのかもしれないけど…
証というのは、それが良かったことでも悪かったことでも関係なく、大事なものだと思う。

だからこそ種族性別を越えて、５０人以上の人の手を渡っても大事に無事に、託され続けてきたんだと思うから。

…戦争で争い続けてる大陸ではあるけれどまだまだ捨てたもんじゃない。
その巡りの一つに加えてもらった俺も、いつかその子供に届くことを願って森のマナの祈りを。

…次に想いを託す人、ちゃんと探さなきゃね。
その人はこの意味をどう取るんだろうか…